The bridge of green

 

 

 

“人間たちには、無理よ。”

私たち天使のようにワープしてどこかへ行ったりできないし、時間に囚われ自由に動くこともできないことを知っている。人間たちには、状況をどうにもできない。

 

ミカは俯いた。私がいれば。私がしっかりしてなかったから。人間を守る立場なのに、捕われてるのは私の方じゃないか…。

 

---“本当にそうでしょうか”

 

物腰の優しい声にミカは振り向いた。そこにいたのは守護天使イェフヤーだった。

“本当に、人間たちには無理なのでしょうか。”

イェフヤーはいつものように、にこにことした姿勢を崩さない。

 

---“確かに私たち天使のようにはいかないかもしれません。だけど、あなたも知っているではありませんか。”

 

見たのでしょう、あなたも。と。

ミカはぐるぐる考えて、そして辿り着く。

 

“絆のリボン……”

 

---“そうですよ。人間は確かにいろんなしがらみに囚われて希望を失い、どうにも動けないかもしれない。けれど、だからこそココロは自由に時や場所を超えて奇跡を起こす力となるのです。”

 

ミカはどうなのでしょう。

彼女の願いを叶えるには、あなた自身も願ってみても良いのでは?

イェフヤーはくくく、と柔らかく高笑いする。

 

あぁそうだった。イェフヤーは9月6日の守護天使、種族関係なく公平で誠実、人間のことが大好きな天使だったのだ。

ミカは思い浮かべる。今日までこと。アニエル、人間たち、イェフヤー、そして彼女のこと。

真っ暗だった目の前に光が見えた。

 

ミカは目を閉じて大きく息を吸った。そして。

 

 

“願います。彼女の夢を叶えるために。”